うっせえよ!
恋は不安になることから始まる。





海のない長野県から上京してすぐ、地下鉄なのに、なぜか地上に上昇していく路線があって、そこから飛び込んできた景色の中に中川があった。



途中下車して、中川の土手を降りてみると、愕然とした。



東京の川はこんなにも汚いのか。この汚く濁った川が海まで続いているのか。



東京はこんなにも便利で、発達している代わりに、自然というごく当たり前の恩恵を捨ててしまったんだと思った。



等価交換とはよく言ったもので、便利さのために自然を壊したなんて批判されがちだけど、私は違うと思う。



東京は日本の便利さのために犠牲になっただけだ。被害者なのだ。



マンションのベランダからワインなんかを飲みながら夜景を見ていると、同情してしまい、涙する夜さえある。




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