うっせえよ!
親孝行はどこから始まって、どこで終わるのか。





取材旅行の甲斐もあって、執筆は驚くほどはかどった。



ひたすら書き、それを仕事終わりの誠司さんにチェックしてもらい、指摘をもらった。



ただ、その指摘はいつものような叱責ではなく、具体的なアドバイスだった。



私はそのアドバイスを時に参考にし、時に自分の意見を述べて反抗した。意見が食い違うと、お互い納得のいくまでじっくりと話し合った。



理想的な打ち合わせだった。もっと早くからこういう打ち合わせをしていれば、誠司さんのことを嫌いになんてならなかったんじゃないかと思う。



いや、むしろ好きになっていたと思う。



でも、この男の本性を知ってしまった以上、それはない。断じて。




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