うっせえよ!
「なるほどねえ。つまり、あなたはあのクソッ! 恋愛短編と、この朱入れされていない未完のサスペンス短編と、どっちが読者に認められるか。それを試したい。そう言ってるのね?」
「ええ、そうです。読者アンケート結果を参考に、これから私が進むべき道を決めたいんです。本当は、自分の進む道は自分で決めるのがカッコイイんだと思うんですけど、こういう生き方があってもいいんじゃないかなって。っていうか、こういう生き方の方が私らしいなって。」
編集長は静かに目を閉じた。何かの余韻に浸っているようでもあり、破天荒な提案に、どう決断すべきか悩んでいるようにも見えた。
「まことちゃん。」
「な、何でしょうか? 首吊りですか? 切腹ですか?」
誠司さん……私の言葉を訊いてもまだそんな心配してるのか……。
「その前にこの原稿、読んでおいた方がいいわよ。あなたも一応、当事者なんだし。」
「と、当事者? いえ、確かに恋愛短編を書かせるとは言いましたが、この原稿は、その、俺は不介入というか……。」
「いいえ。当事者よ。」
そう。編集長の言う通り、「当事者」だ。
誠司さんは私の原稿を読んで、それから何かを我慢するような顔で、唇を噛みしめた。