うっせえよ!





おかしい。



この世界はいつから壊れてしまったんだろう。



「誠司さん。一つ、お伺いしてもいいでしょうか?」



改まった剃り込みの入ったトラックの運転手、父さんが誠司さんに訊いた。



「結婚後、この子に今まで通り仕事をさせるおつもりでしょうか?」



私と誠司さんは顔を見合わせた。



そういえば、そんなこと考えてもみなかった。



「結婚すれば、いずれ子供ができるでしょう? その時……まあ、失礼承知ですが……うちの娘よりも収入の少ないあなたが仕事を続けるよりも、うちの娘が優先的に仕事をする方がいいと思うんです。」



「つまり、私に仕事を辞めて、主夫になれと。お義父さんはそうお考えなんですか?」



「いえ、そうは言ってません。娘は未熟ながらも作家です。しかし、それと同時に将来的には母親にもなるわけです。作家という職業がどんなものか、親でありながらよくわかっていないんですよ。作家をしながら子育てをすることなんてのは可能なんでしょうか?」



「ええ。子育てをしながら執筆活動をされている方も大勢います。作家に限らず、芸能界でもそういう方は多いですよ。」



「そうですかあ……。」父さんは、腕を組んだ。




< 179 / 252 >

この作品をシェア

pagetop