うっせえよ!
「ああ、もうこんな娘でよかったら煮るなり、焼くなり、川に流すなり好きにしてください!」
「うちの人の言う通りです。ホント、もうこの子はどうしようもない子でして、誠司さんのように立派な方のところに嫁がせてもらえるなんて、もう、これ以上の幸せはありません!」
……うっせえよ!
なんだ? なんだこいつら。
頭を畳に擦り付ける勢いで土下座までしちゃって。
本当にこれが親なのか? 私の価値ってこんなに低いのか?
私が生まれてきて本当に幸せだったと、この両親は思っているのだろうか。
さすがの誠司さんも呆気に取られて、「いえ、大変素晴らしい育ちをされたお嬢様で、私にはもったいのおございます!」と意味不明な言葉遣いで、両親に合わせてペコペコ頭を下げている。
まあ、私たちはこうもあっさり結婚を認められてしまったわけだ。
呆気ない。呆気ないにも程がある。
もし、私がこういう場面を小説で書くとすれば、もっと熱いものを書く。
絶対に引き下がらない男。そして、手塩に掛けて育てた娘の幸せを願う気持ちと他人の物になることへの寂しさが入り混じって、横柄な態度をとってしまう父親。
二人の男たちの譲れない想いをぶつけ合う。
そんなストーリーが絶対いいに決まっているし、定石だ。