うっせえよ!
妹はブラコンで才色兼備のクソアマ。





好き同士が一緒に生活をするだけで、どうしてこうも大変な思いをしなければならないんだろうか。



誠司さんはご覧のとおりうっせえダメ男だけど、仕事に関しては真面目で、うっせえくらいに細かい。



その性格は、きっと親譲りのものだと思う。つまり、遺伝。



そんな都内在住の誠司さんの家族と京都円山公園内にある懐石料理の名店で、食事をすることになったのだ。



「どうしてわざわざ京都まで行くんですか? 都内に住んでるんですよね?」



「なんでも、妹が両親の銀婚式を祝うために前々から予約してたらしいんだよ。そこに、おふくろのお姉さん、俺のおばさんに当たる人も来ることになっていたんだが、急遽、来られなくなったらしくて。それで、『結婚することになったから。』と報告したところ、こっちに話が回ってきたってわけだ。」



「いや……とはいえ、京都ってまた……そんなに名店なんですか?」



「名店。予約も1年くらい待たないと入れない。カウンターが少ないんだ。」



「カウンターが少ないから名店になっちゃうんじゃないんですか?」



「とにかく行けばわかる。」



何でもそうだ。とにかく行けばわかる。そんなことわかっている。



わかっていても、何かしらの情報がほしいからこうして訊いているのだ。それを誠司さんも、「とにかく行けばわかる。」という文句を多用する人もわかっていない。




< 186 / 252 >

この作品をシェア

pagetop