うっせえよ!
ランチの後、カフェで適当に時間をつぶして、合コン場所になっている居酒屋へ向かった。
初めて来る居酒屋で、大衆向けというよりは、ちょっと敷居の高い、私ですら行ったことがないような居酒屋だ。今度、直木賞にノミネートされた時は、発表までの間、ここで飲みながら待つことにしよう。
予約済みであった個室には、すでに一人の男が来ていて、なかなかいい男だった。B専だった明美にしてはなかなかいい趣味をしている。
「すみません。一人遅れてて……先に乾杯しましょうか。」
とのことで、男はビールを注文し、明美は生レモンサワーを注文した。私の口はビールだったが、いきなり合コンでビールを注文するのもどうかと思い、明美に習って生レモンサワーを注文した。
ドリンクが来るまでの間、自己紹介が始まった。男は、笹川さんと言って、平塚の病院に勤めている内科医だった。
私はいつもの癖で、本名ではなく、ペンネームである『大木りん』を名乗ってしまった。
「『大木りん』さん? あの『エゴイスト』を書いた作家さんと同じ名前なんですねー!」
「ええ、よく言われます。」
明美がニヤニヤしている。やっぱり私イコール大木りんには結びつかないか。まだまだだな。