うっせえよ!





月刊カミツレの編集部は、他の出版社と比べると、少し特殊かもしれない。



まるで、漫画の出版社じゃないかと思うくらい、シビアで、連載を続けれるかどうかは、読者アンケートに大きく左右される。



読者アンケートは、ジャンルに関係なく、作品の中で気に入ったものを3つ選ぶというスタンスで、その票数を格付けし、順位の低い作品は連載会議ですぐに打ち切りとなる。



不振だと言われている出版業界にしては、需要も多く、作品の多くはドラマ化やアニメ化になる。そのことで、デビューを目指して持ち込みをする作家の卵も多い。



連載会議は、毎月月末に行われる。チーフ以上の役職の人たちが集まって、何時間にも渡る会議を行い、アンケート結果を元に、打ち切る作品、新連載の作品について話し合う。



チーフである誠司さんもこの会議に参加することになる。



そして、打ち切りになった作家、新連載が決まった作家に担当編集がその日のうちに連絡をする。



私も一度、打ち切りの連絡をもらったことがあるが、作家にとってはかなり応える。アンケート結果を事前に知っているだけに、打ち切りを覚悟はしているものの、それが正式に伝えられると、耐え切れず、その日は藤原を連れ回して泥酔したものだ。



あんな思いはもう二度としたくない。



でも、それよりももっとむごいのが、契約打ち切りだ。




< 62 / 252 >

この作品をシェア

pagetop