私のいとおしい残念な男達
「………あいつ、結構酔ってて家にもお前のとこにも帰りたがらなかったから………」
「ああ………そっか。それで七瀬から小夏になった訳だ」
呼び方を変えたのは、ある意味自己主張だったのかも知れない
やっぱり気づいていたか………
「……………」
「小夏とシタ?」
「……………」
自分から言いだしたくせに、つい和馬から目を逸らした
「小夏が望むなら、波瑠にあげてもいいよ。きっとその方が本来のレールに乗れるのかもしれない………」
はっ………?
徐に、和馬の視線が寝室の扉に向いた
「小夏、起きちゃった?」
そう言う和馬に、起き上がろうとする小夏の姿が扉から見えた
「和馬………?」
すぐに寝室に向かう和馬に気がついて、自分から手を伸ばした小夏
ベッドの淵に座る和馬がそれを受け入れ、小夏を胸の中に抱きしめていた
「……………」
「大丈夫だよ。もう、怖くないから……」
そう言って、子供をあやすように小夏の頭を撫でる
その様子を見ていた俺は、その扉をそっと閉めた
「…………っ」
小夏をあやしているその部屋の扉に背を向けた
暫くして、玄関に向かう俺の後ろから声がかかる
「波瑠、帰るのか?」
「…………ああ、俺がいない方がいいだろ?」
靴を履こうとする俺を見下げる和馬
「まだ、話は終わってないよ」
静かなトーンでそう言われ、俺は右手に力を入れた
「…………悪かった、小夏との事。嘘だから」
「嘘?」
そう言って帰ろうとしたら和馬に腕を掴まれた