私のいとおしい残念な男達
そう言って、中腰に黒木の顔を覗き込むモモちゃん
「ね、」
確かにそういう意味もあるかも知れない
私を越して、黒木にニッコリと笑顔を向けるモモちゃん
「そんなのモモちゃんの買い被りだよぉ、だって黒木は……」
会ったその日にワンチャンする男だよって
二人の間にいる私は、モモちゃんの黒木を持ち上げる言葉を遮ろうとしたけど
考えてみれば黒木と浮気した私はどうなんだ?
少なからず彼らとのセックスを比べてしまったそれこそ最低野郎じゃないか……
「…………」
「なんだよっ」
「いや、別に……」
なんだか空気が悪くなってしまった
「あんた達は、結婚とか考えるよりまず恋愛の仕方を見直すべきね」
その空気を舞子がピシャリと締めてくれた
「……自分のこと棚に上げるところだった」
席をぬけて、トイレに立った
鏡を見ると、少し頰が赤い
あれ?結構顔に出てる……杏露酒ロックが結構きてたかなぁ
そう思いながら火照った頰に両手で包む
正直、黒木と普通にいられてホッとした。
あいつといると嫌でもあの頃に引き戻される
「あれ? 黒木帰ったの?」
席に戻ると黒木がいない
モモちゃんが不機嫌そうに指を指す方向に目を向けると少し離れた席の女性と話していた
一緒にいる眼鏡のリーマン男性とも名刺を交わしながら珍しく笑顔を見せていた