私のいとおしい残念な男達
だって、広告宣伝やCMなんかの企画だしたりする仕事でしょ?
「まあそうなんですけど、でも最近彼女みたいな女優さんとの仕事あったけかな……?」
阿部君が首を捻る
「………それに、『波瑠君』ってなんか馴れ馴れしかったしぃ」
口を尖らせて言うモモちゃん
波瑠君………?
私が席を外している間に、入店してきた彼女が黒木の前を通る時、気が付いて声を掛けてきたらしい
「黒木君も『ともこ』って、あれ本名よねぇきっと」
聞き逃さなかった舞子が、ただ成らぬ関係だと口角を上げる
「…………へぇ、あんな綺麗な人と知り合いなんだ」
笑ってる………
なんだかいつもクールに抑えている黒木が、あんな風に無邪気笑っているのを見るのは久し振りのような気がする
こっちはこっちで、また取り留めのない話をしている中、何となく意識が向こうに行ってしまう
暫くすると、話が終わったのかこちらに戻ってきた
無言のまま、また元の私の隣に座る黒木
「もういいの?」
「ああ」
「…………」
はい、終了
さっきまでの無邪気な笑顔、向こうにおいてきたみたい………
帰り際店の外に出ようとした時、それを追ってまた彼女が黒木を呼び止めて近づいてきた
彼女に振り向き、離れた場所で話を始めた黒木
その状況に4人はそのまま待ち惚け