私のいとおしい残念な男達
「そうなんですかぁ?!」
「昔のことだ」
以上もう話さないと言わんばかり、スイッと前に進む黒木の後ろをすかさず追うモモちゃん
「何話してたんですか?」と食いつくるのを交わしながら、駅までの道を騒がしく帰る
「じゃあ、俺はバスなんで」
駅に着いたところで自宅への交通手段を指差す阿部君に、舞子もバスだとここで解散の宣言をする
時計を見上げれば時間はまだ9時半だけど、自宅につく頃には10時半になるか……
「小夏」
呼び止められ、当然と言わんばかりに私の改札口へ先に足を向ける黒木
その黒木の腕をモモちゃんにグイッと掴んで引っ張られた
「黒木さんの家はこっちですよね。普通送るなら同じ方向の私じゃないんですか?」
「はっ?ちょっと待て俺は……」
「時間だって全然早いし、酔った女の子を送る方が当然でしょ?」
そう言って黒木の家の方向の改札を指差す
今日のモモちゃん、なんだか積極的だ。
本当に酔ってる?
実際、彼女は飲むといつもそこそこテンションが高めだけど、今日飲んでた時はそう言えばちょっと大人しかった。
それにピッチも早かったような………普通に結構飲めるから気にしてなかったけど
どうも今日は引き下がる気はないようだ
「分かったよっ引っ張るな、後輩女」
「だぁから、その呼び方何とかなりません?
宇野百華だってば黒木さんっ!」
「離せって分かったから、じゃあ先に時間見てこい宇野百華」