私のいとおしい残念な男達
初めに乾杯をした時のシャンパンが、その時ひとくち口をつけただけで、随分とそのままだったグラスを水野君が取り上げ、新しいものに変えてくれた
その変えてもらったシャンパンを渡されながら少し距離を縮め、こそりと囁きかけてきた
「それとも、ここを抜けて二人で最上階にあるBARに移動しませんか?結構夜景が綺麗なんですよ」
少し熱のある瞳で、思わずそんな彼の雰囲気にのまれそうになった
「何やってんだよ、小夏」
「えっ………?」
いきなりドスのきいた低い声が響いた
当然声のした方を見るとそこに、息の切れた黒木
「はっ………え、?なんで?」
「黒木さんっ?!」
モモちゃんも面食らっている
そんな周り御構い無しで、水野君が私に渡したシャンパンを横から取り上げテーブルに荒っぽく置いた
「お前は、っとに学習しねぇなぁっ」
そう言って私の腕を引っ張り上げた
「ちょ、ちょっと何?どうしてここに?」
引っ張り上げられたから仕方なくその場を立ち上がろうとした時、もう一方の手が今度は反対側へ引っ張られた
「これはちょっと乱暴過ぎないかなぁ、黒木くん」
私の片方の手を引く水野君が、そう言って黒木を見上げる
「悪いが、こいつが自分で好きこのんでこの場にいたいとは思わないんで」
対面する水野君を睨み付ける
「それは小夏さんが決める事で、君が強制するのはおかしくないかなぁ。それに、少なくとも僕はまだ小夏さんと話していたいし」