私のいとおしい残念な男達
「説明して欲しいのはこっちの方だ。何なんだお前は一体……」
そう言われて、私も口を開こうとした時に丁度1階でエレベーターの扉が開いた
エレベーターに乗り込んでくる人が、不自然に腕を掴まれている私達を不思議そうに見ながらすれ違う
「離してよ、もうちゃんと歩くから………」
ホテルのロビーの中、人の邪魔にならない所で立ち止まり腕を離してもらった
「…………」
もう、何をどう聞いたらいいのか
いきなり飛び込んで来て、連れ出されて
見た感じ、やたら怒ってるみたいだし
向き合って俯いたまま言葉が出ない
「お前さぁ、なに?男が欲しい訳?」
「はぁっ?」
なにをいきなり、こんな人がいる所で……
「和馬と別れて、一人でいられなくなったからそろそろ代わりの男でも探してるとか?」
「違っ……何言っ……」
目立たない場所で話しているが、近くを通り過ぎる人の目や耳が気になる
ここは品を必要とするホテルのロビー
こんなところで言い争う話じゃない
「チョットこっち、きてっ!」
反対に今度は私が黒木の腕を掴み、その場からとりあえず外へ出た
歩道から四車線ある大通りの横断歩道を渡り、ホテルから反対車線にある公園まで来た
暗くて奥は不気味だが、歩道すぐの入り口は人通りも少なく街灯もあった
そこまで黒木を引っ張って行き、手を離した
「本当に訳分かんない……一体なに?!」
今度は怯まずに黒木を見上げた