私のいとおしい残念な男達
なんだと?
こっちの男が愛想をつかすならまだしも、あの女が邪険に扱う代物じゃないだろ?!
何考えてんだ?行き遅れるぞあいつ…………
「岬さんと何かあったのか?」
出たぁァァァァ、さすが恋愛アドバイザー阿部
「…………」
いや、ただの気のせいかも知れないと、眉を下げる宮崎
たぶん、休みの予定でも断られたんだろ
恋人がいようがいまいが、独身男は不安定だな
エレベーターが1階につき、ホールから残業用の裏出口へ回ったところで、時計を確認した阿部が少し早足になった
走ればまだ間に合いそうだからと、一人先に行く
「あ、」
裏口前で一度足を止めて、またこちらに向き直した阿部
「?」
「宮崎っ」
身体を傾けて宮崎を呼んだ阿部と扉との間から顔を出した女
「舞ちゃんっ?!」
舞ちゃん………だと?
隣いた宮崎が先にいる岬舞子の元へ走り寄る
「どうしたの?こんな遅くに」
顔を伏せ俺や阿部の存在が邪魔だと言わんばかりにバツが悪そうな表情の岬舞子
「ちょっと、話したい事があって……」
おい、宮崎よ
騙されるなよ、その女のしおらしいところなんて絶対裏があるに決まってる
「そんな、メールくれたらすぐに仕事なんて終わらせたのに」
いやいや、男なら仕事を選べよ
「話したいってメールしたら、変な誤解するかも知れないでしょ?」