私のいとおしい残念な男達

避けられてた男なら別れ話だと思うわな確かに


「こんな時間に舞ちゃん一人でいたら危ないだろっ!」


いや、大丈夫だろ
強そうだもん、こいつ。

なんか小夏に聞いた事あるぜ、合気道で全国行ったことがあるって


「……………」


阿部は、二人を横目に名残おしそうに駅に走って行った


俺は、初めて見るひ弱な女に化けた岬舞子と、さっきとは違い嬉しそうに頰を上げている宮崎をつい眺めていた


ようやく俺が邪魔なのに気づいて、さっさと二人の前を通り過ぎようと思った


舞ちゃんって………ぷっ、キャラ違うだろ

思わずクックッと口角が上がる



「ああ………黒木君」

そのまま通り過ぎようとしたが、岬舞子に低い声で呼び止められた


振り向いた俺に向けた岬の顔は、やっぱりいつもの上から目線だ


「そういえばここに来る前まで小夏と飲んでたんだよねぇ、だけど置いて一人抜けてきちゃったけど」


置いて一人で抜けて来た?


「じゃあ、後輩女と一緒にまだ飲んでるのか?」

「いえ、モモちゃんは今日合コンだから」

なんだよ、他の奴と飲んでるのか?それとも



「今日小夏と二人で飲んでたんだけど、途中で水野君と合流して私だけ抜けてきた」



「………………なに?」

ペロりと舌を出し、そう言う岬に一瞬で眉のひそめた

「水野って、和馬の友達だって言ってた合コンの奴か?」


蘇る

非常用階段で小夏に邪魔をするなと言われてつい「勝手にすれば」と言ってしまった事


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