私のいとおしい残念な男達
カフェから会社へ、朝の人の流れに流されるように二人で向かった
「誉めて機嫌が悪くなるなんておかしくないか?」
少し早歩きになりながら和馬の一歩先を歩いていると、そう言ってきた
「誉められてない。別に綺麗になんてなってないし」
「そう? でも腰の辺りが…………」
「色っぽくなんてなってないっ」
「…………そこまで言ってないけど」
違う…………これはモモちゃんに昨日言われたんだったか
なんだと言うんだ?!
舞子のキスマークにしろ、
モモちゃんの「最近先輩腰が色っぽくなりました?」と、昨日言われたの発言
私は何も変わってない
寧ろ毎日イライラしているのに
「あ…………」
和馬から一歩そのまま前を歩いて会社のロビーに着くと、入ってすぐの待ち合いスペースで、こっちに視線を向けた美女
さすがに噂になっているだけに、顔くらいはチェックしてある
「お嬢さんっ、今日はどうしたんですか?」
私の後ろから声を上げ、すくに私と前後が入れ代わる
常務のお嬢さん、確かに美人だ
血統書付きの国産なんて言われるだけあって、長い黒髪に清楚な品のあるワンピース
ライトブラウンに染めたの肩までの巻き髪をシュシュで纏めて、グレイのリクルートなみのパンツスーツの私とは大違いだ