私のいとおしい残念な男達

カフェから会社へ、朝の人の流れに流されるように二人で向かった

「誉めて機嫌が悪くなるなんておかしくないか?」


少し早歩きになりながら和馬の一歩先を歩いていると、そう言ってきた

「誉められてない。別に綺麗になんてなってないし」


「そう? でも腰の辺りが…………」


「色っぽくなんてなってないっ」


「…………そこまで言ってないけど」

違う…………これはモモちゃんに昨日言われたんだったか



なんだと言うんだ?!


舞子のキスマークにしろ、
モモちゃんの「最近先輩腰が色っぽくなりました?」と、昨日言われたの発言





私は何も変わってない
寧ろ毎日イライラしているのに




「あ…………」

和馬から一歩そのまま前を歩いて会社のロビーに着くと、入ってすぐの待ち合いスペースで、こっちに視線を向けた美女



さすがに噂になっているだけに、顔くらいはチェックしてある



「お嬢さんっ、今日はどうしたんですか?」

私の後ろから声を上げ、すくに私と前後が入れ代わる


常務のお嬢さん、確かに美人だ

血統書付きの国産なんて言われるだけあって、長い黒髪に清楚な品のあるワンピース

ライトブラウンに染めたの肩までの巻き髪をシュシュで纏めて、グレイのリクルートなみのパンツスーツの私とは大違いだ



< 47 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop