私のいとおしい残念な男達

「和馬さん、おはようございます。」


発せられる声さえも、純日本を感じさせる


………21歳という若さも羨ましい



って言うか、『和馬さん』ってもう名前呼び?


そんなお嬢さまが、控えめに和馬を見上げるその顔は、噂通り『ぞっこん』なんだろう


「お父様にお話したいことがあって………」

そう言っているが、明らかに和馬の出勤を待っていたんだろう

「常務なら朝は視察が入っているから、出勤されるのは昼食前だと聞いていますが……お急ぎですか?」


7歳も下の女の子に対して丁寧に応対をする和馬

自分目当てだとは思わないのだろうか?



「いえ、ではまた出直してまいります。」


軽く一礼したその視線は、すぐ後ろにいる私に向けられた


「和馬さん、もしかしてそちらの方はこの間話していただいた………?」


お嬢様が和馬を見上げた

「あ、ええ僕の付き合っている女性です」


お嬢様に紹介するように、少し身体を傾け
た和馬の右側から顔を出した


「初めまして、私は七瀬…………」


「小夏さんでしょ。和馬さんからよくお話聴いてます。仲がよろしいんですね、お二人で御出勤ですか?」


コロッと品良く笑顔を向けられ、そう言われたが

お互いの自己紹介は要らないといった所だろう


お嬢様は、和馬の見えないところで私を鋭い目で睨み、明らかに女になっている

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