私のいとおしい残念な男達
結局仕事が手につかず、中途半端に終わらせて、予想をつけた居酒屋に向かった
居酒屋の入り口にある簡易的なベンチに座り項垂れている小夏と、
いつも一緒にいる後輩の女と同期の岬舞子が側にいた
なんだ、一人でいる訳じゃないのか
この状況に、どうしたんだ?と聞くと、後輩の女が「先輩が羽目外しすぎて……」と
座り込む小夏を覗きに込む
岬に目を向けると
「桐生君の噂が原因かな」と呟いた
ああ……………最近の社内に充満している常務の娘との結婚話か
大体、そんな話デマだろ。今までだって取引先のやり手女経営者に見初められたとかあっただろうが…………
まあ、相手が21歳じゃ少し落ち込むのも無理ないが………
「モモちゃぁん、次行こぉう~、つぅぎぃ~」
「先輩、黒木さん来ましたよ~」
後輩の女に絡む小夏の腕を、仕方なく引っ張り上げた
「いい、俺が連れて行くから」
「え、次に行くなら付き合いますよぉ」
「お子様はさっさと帰れっ」
一緒に飲んでいた割にしっかりしている、
見た目10代にも見える背の低い後輩女と
「じゃあよろしく」とさっさとこいつに手のひらを振る岬から小夏を連れ出した
「……………くろきぃ?」
この酔っ払いが………もともと酒が弱い癖に
ったく…………
「タクシー捕まえてやる。金持ってるか?」
「どぉこ、行くぅ?」
「アホ、自分ち帰れ」
そこそこ歩けているから電車でも大丈夫かもしれないが、タクシーの方がいいだろう
「…………………やだっ!」