私のいとおしい残念な男達
「…………まあ、無難だろ」
ダブルベッドの横にソファーとガラスのローテーブル、正面には40インチくらいのテレビに小さい冷蔵庫、すぐそこに洗面所とバスルーム
やたら派手な壁紙に、趣味の悪い照明だが
週末でもないのに以外と部屋は埋まっていた
会社の裏にある『ホテルろまんす』
会社に入社して、まさかここに入る事があるとは思わなかった
まぁ、こんな酔っ払いと間違いはまずないだろう………
部屋の大半をしめるダブルベッドに、うつ伏せに倒れ込んでいる小夏
今日のこの状態は和馬の結婚話だけが原因か?
「俺はシャワー浴びるが、お前はもう寝るか?」
俺はベッドのふちに座りながら、ふとんの中に顔を埋める小夏を見てそう言ったが返事はなさそうだ
脱いた背広をソファーに投げ、腰を上げようとすると、
いつの間に起き上がっていた小夏が、背中に凭れ掛かってきた
「っ!?」
「ねぇ…………黒木って和馬のこと、どう思う?」
背中に額をつけて喋っているのか声が少し響く
「和馬の噂の事か?別によくあるデマ話だろ。和馬が別れてもないのに他の女となんて有り得ねぇだろ」
実際、和馬が二年も女と付き合っているのだって初めてだと思う
俺が知る限り、周りに取り巻きみたいのはいたが、ちゃんと彼女としてたのはこいつだけなんじゃないか?
「クックックッ………あたしがそうじゃん」
「は…………?」
ゆっくりと俺の胸に後ろから回ってきた小夏の手。その手に力が掛かり、背中から肩に上がってきた彼女の額
完全に背中のYシャツに小夏が密着している