哭く花

一日がすぎるのも早いもので、
始業式を終え、3年生になった私達は
午後の時間は授業が入ることになっていた。


自分の席に腰を落ち着けて、
ゆめちゃんが椅子ごと振り返る
その手には大きなメロンパンが握られていた。


この形でお昼ご飯を食べ始めてはや3年。
今日もいつものように向かい合ってお昼を食べれることが嬉しかった。


外では元気に蝉が鳴く時間。

クーラーをつけて締め切った部屋の中までも威勢のいい声が届く。



「しっかしねえ、」

私が弁当を開けるより先に
メロンパンをほおばり始めたゆめちゃんが
蝉の声の合間で口を開いた。

「あんなことで、泣いちゃうなんて珍しいんじゃない?」

ゆめちゃんは興味半分、心配半分の顔で
私をちら、と見た。

「そうかな、?」

あの時の涙はどうして?

悲しいわけでもなく、ただ出会っただけのことなのに。


自分でもよくわからないから誤魔化すように
弁当の蓋に手をかけた。

ぱか、と音を立てて外れた蓋の先には
彩りの整ったお弁当があった。

お母さんの手作り弁当。私の自慢の一つ。

「あっ、卵焼き欲しい!」

「はいどうぞ♪」

まだメロンパンの消えていないゆめちゃんの口に卵焼きを渡す。

「っんっまーー!」

美岬ママさいっこー!

ゆめちゃんは卵焼きを頬張ったまま叫んだ。

その後も私たちは、
おかずの作り方を考えたり、どのおかずが一番好きか話しあったり、

そうしているうちに、昼休みの終りのチャイムがなった。

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