哭く花

それから私は、

先生の仕事を後ろのソファーに座ってこっそり見ていた。

邪魔にならないようにするからって言ったら

気が済むまでいたらいいって

そう笑ってくれる先生はとても優しい顔をしていた。

時計の針が12を指した頃、

私は少しずつ、うとうとし始めて、

目を離さず眺めていた先生をも逃して、

少しの間、夢を見ることにした。

だけど。

1週間たっても、夢に出てくるのは家族。

こんなこと、お父さんとして生きてくれる先生には言えなくて。

毎日、深い眠りについた先生の腕を握りしめて寝ているなんて、

本人には秘密。

先生の仕事が終わるまで。うとうとするだけ。

そう自分に言い聞かせて、ソファーに体を委ねると、静かに目を閉じた。
< 59 / 133 >

この作品をシェア

pagetop