少女マンガ的社内恋愛
そんなバカげた感想を形のいい唇から発する男は、我が社の常務の高稲 幸作。



「マ、マシュマロって何ですか!私は正真正銘の人間ですから!!」


頬を摘まむ常務の手から体を捻って逃れたのはもちろん私·営業部の倉金 澄鳴だ。


常務が私を商談相手の前から引っ張っていったあの日から、すでに6日。


本社にやって来てようやく10日の常務は、ずっと私と社内で出会う度に絡んでくるのである。


さすがに他に誰かいる時はすれ違っても私が軽く頭を下げる位なんだけど、人気がないといつもこう。


「常務、私もう時間が無いので失礼しますっ!!」
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