記憶の中の彼
わたしは素直にうなずいた。

今までのわたしなら即座に否定していただろう。

なぜだか片瀬さん出会ってから、知りたいという気持ちが暴走している。

今までのわたしは周りへの関心を意識的に抑えていたのだ。

サイズの小さなかばんに無理やり詰めた気持ちは、かばんの小さなほころびから飛び出してしまったようだ。

「僕も聞きたいことがあるんだ。今日の授業後は空いている?」

「うん、次の授業の後は空いているよ」

「それなら今日ちょっと話さない?」

「うん、そうしよう」
 
授業が終わり、二人で学校の最寄り駅のカフェに行くことになった。

比較的安いチェーン店であるため、多くの学生が利用している。

カフェまでの道のりで、わたしたちはあえて片瀬さんの話をしなかった。
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