笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
こんなことを聞くつもりはなかった。
そして自分でもその言葉の意味をよく理解できないまま、発してしまった。
だけど。
笑顔の奏が急に苦しくなって、切なくなって。
どうすればいいかなんて分からないけど。
――2人とも、幸せでいられたらいいのにって。
今この瞬間、心から、思った。
奏は私を見たまま、少し考えるようにして黙った。
チッ、チッと鳴り響く時計の秒針の音が、この空間に微妙な緊張感を与えていく。