笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
「エミ?」
横を向いていたその瞳が、私の方へと動いてきて。
「あ…ごめん」
理由は分からないまま、心臓がドキリと音を立てた。
自分でも驚く程、奏の横顔に見入っていたようだ。
教えて欲しい、と頼んだのは自分なのに、その回答もろくに聞けないほど見入っていたなんて。
私は、どうしてしまったのだろう。
私はすぐに奏の瞳から視線を外すと、机の上に置かれたカップへと再びその視線を逃がす。
あんなにじっくり見つめて、不審に思われたかもしれない。