君の声に溺れる
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明日はいよいよ、女子も男子も待ちわびたバレンタインデーというビッグイベント。
私は毎年チョコを貰う(女友達から)専門だったんだけど、今年は気合を入れて手作りチョコに挑戦してみることにした。
理由は、この間の笠原くんの発言。甘いものは好きだと言っていたので作ってみるのも悪くないかなーっと思ったのだ。
で、私はただいま絶賛チョコづくりの真っ最中なわけだけど。
「うわ、何それ、本命?」
声がして振り向くと、そこには生意気にも私の身長を追い越しやがった二つ下の弟の姿。私が作ったチョコレートを見て目を丸くしてやがる。
「うるさいっ!あっち行ってろ!」
「姉ちゃんにもついに春が来たか……」
「何よその言い方」
「だって姉ちゃんがハート形のチョコとか……おえっ」
舌をベっと出して気持ち悪そうな顔をする弟に自分の顔がかあっと熱くなるのが分かった。
「し、失礼な!いいじゃん、ハートのチョコくらい!」
「俺は絶対いらないけどな」
「あんたになんかくれてやるチョコはない!」
「別にいらねーし、本命が一つあれば十分だから」
そう言ってくるりと私から背を向けた弟はそのままリビングのソファーにどかっと座り込んだ。
「ええ!?ま、まさか彼女いるの!?」
「は?何言ってんだよ今更」
「い、いや!だって!」
「今時高校生にもなって一度も彼氏がいないのは姉ちゃんくらいだよ」
「そ、そうなの……?」
「ん、そうそう」
「っていうか何で私が一度もないって知ってんの!?」
「姉弟ならいろいろ分かるんだよ、そういうの」
「くっ……生意気なっ」
知らぬ間に弟にまで先を越されていたとは考えもしなかった。
「べ、別にいいし。彼氏くらい私だって本気を出せば……」
脳内に笠原くんの姿を思い浮かべる。あの、無口でマイペースで不思議な男の子を。
「無理かもしれない……」
考えた途端、絶望的にうまくいかないような気がしてきた。