ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

シゲが渡してくれたスマホを見たら純からで、さっと外に出て話すことにした。


『ゆいー? ねえ、どうしよう。僕、今日、彼の部屋に行ったの』

「純? 泣いてる? 酔ってるの?」


聞いても純は泣いてるみたいで話にならない。何か言いながら、しゃっくりもしてる。弱いくせにまた飲んだんだ。


「どこにいるの? 大丈夫? 純?」

『わかんない。結衣に、会いに行こうと思って、駅まで来たんだけど。迷って、行けなくって。えーっと。ここね、白上第二公園、だって。どこだろうそれ』

「白上第二公園? わかったからそこにいて。迎えに行くから、動かないでよ」


電話を切ると、ドアを背にシゲが私を見ていた。


「古瀬? 場所わかんないだろ。行くよ」


返事を待たずシゲが自転車を取りに行く。検索すれば自分で行けるのに。シゲは純のことをまだ何かおかしいと思ってるのかな。確かめる気かもしれない。どうしよう。


あんなに泣いてるのに、そんなの無理。





暗くなった道を、シゲの後ろについて自転車を走らせる。星の部分は蛍光色を散らしているから、夜空の星のように白くよく光っている。離されないように、ただ無言で着いていく。


ペダルを踏む足が重い。


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