サプライズ★フィナーレ
「……人の肘掛けに、足乗せる方が悪いでしょ」


私は、睨んだままゆっくり起き上がろうとする翔に怯えながら、翔輝君に視線で助けを求めた。


「翔、愛梨の言うとおりだよ。愛梨も寝転ぼうとしてたのに、足が目の前じゃ怒るよ」


さすが翔輝君!

心の中で拍手の嵐。

翔は、きっと心中で文句言いながら、再び寝転がり肘付いて頭を支えた。

そして寝たまま赤貝食べてるから、また足を叩いてやる。

しかし見た目は、こんなにもソックリなのに、なぜ性格は、こんなにも違うんだろ?

それなのになぜ私は、こんな俺様野郎が好きなんだろ?

私って実は、意識したことなかったけど、ギャップに弱い?

それともM?

ムチ、ムチ、ムチ、時折アメに弱い質?


「……何じっと見てんだよ? 減る」


いやいやいや、やっぱり私は、翔輝君のように言葉も笑顔も優しい、包容力溢れる大人が理想。

お母さん亡くして、心が最大限に弱りきっている私は、不覚にも簡単に心開いてしまったみたい。

だから今夜から、またしっかり心の戸締まりして、誰もが祝福してくれる未来を新たに探しに行く。

そう心に誓う私だった。

< 152 / 558 >

この作品をシェア

pagetop