サプライズ★フィナーレ
翼からは、『翔君とは、何もない』って力説されたけれど、何となく気まずいまま。
私の思い付きの嘘と軽い冗談で、最愛の翔を失い、翼とも距離が出来てしまった。
翔輝君は、時間をぬって来てくれるけれど、彼にもどう接していいかわからない。


「愛梨!?」


翔輝君の驚き声に我に返ると、いつの間にか雨に打たれていることに気付いた。
翔輝君は、慌てて私を部屋に押し上げると、洗面所からバスタオルを持って来て、手早く頭から順に拭ってくれた。


「……また翔のこと考えてたの?」


「……違う」


なんて嘘、彼にはお見通し。
そしてこんな時、必ず優しく抱き寄せてくれる。
……この香りにも徐々に馴染み始めた。
いつか翔の香りを忘れて、この香りにずっと包まれていたい……
そう願う日が来るのだろうか?







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