サプライズ★フィナーレ
でも反対側に座った私を、無言で見つめているだけ。

……何か悪い報告?

最近の翔輝君、雰囲気まで翔に似てると感じる時が増えている。

髪型のせいだけじゃない。

わざと似せてるの? それとも……。

この沈黙と、彼に翔を重ねずにはいられない自分に耐えられなくなり、コーヒーを入れようと立ち上がったとたん、すぐ座るように言われた。


「……もうすぐ撮影だね」


コクリとすると、また彼は黙り出し、目を伏せた。

やっぱり翔輝君らしくない。

また疑惑が、脳裏に浮かび上がる。

それとも単に私が、知らなかっただけ?

翔輝君=笑顔、翔=クールな眼差しが定番化なだけで、翼だけに見せていた特別な姿なのかも。

翼が、最近ここに全く顔出さないのは、私のせいよね……。

きっと時々、私に会いに来る彼の姿を見たくないから。

それ以上に、私に会いたくないのかも。

私……ズルい。

まだ翔輝君と始める気になれないのに、翼の気持ち痛いほどわかるのに、一人じゃ立っていられず彼の優しさに甘えている。

こんな私……大嫌い。

胸中で放つと、すぐ涙が、ジワリ目尻から流れ出す。


「どうしたの?」


やだ、見られた……。

素早く親指で拭い、無理矢理笑ってみせる。
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