サプライズ★フィナーレ
「……お帰り」


「……ただ今」


「待ってた、櫻木愛梨を。……ありがとう、俺の花嫁として帰って来てくれて。……幸せにする。もう二度と離さない。必ず守り続けるから、ただエリは、こうして俺の隣にいてくれるだけでいい。笑ってても泣いてても怒っててもいい。もう何も怖くない……もうどんなエリも必ず受け止めて行ける」


……そんな一度に、泣きたくなるほど心から女に生まれて良かったと思う言葉、サラッとキメないで。

今夜で一生分の幸せ、使い切ってしまいそうで怖い。


「……もう充分幸せ。翔の隣にいられるだけでいい。翔といられることが、私の全てだから……」


愛する人とハートの奥底から、虹色に輝き溢れる愛を伝え合うことが出来る奇跡。

……愛してる。

ただ愛してる。

それが、私の全てだから……。


「ウェディングドレスは、母さんに譲ってやったけど、パレードのカクテルドレスは、俺がもう何年もデザインを描きためた中で、一番エリに似合う物を選んだ。……コアラ生活中に、俺の部屋で気長に作り始めといてよかったわ。さすが俺」


……凄く嬉しい。

とっても楽しみ! 早く着たい。

でも反面、このドレスを脱ぐのは、寂しい……。

本当なら前撮りして、素敵なアルバムも作りたかったし。

けれどさすがの翔は、隣で私の胸の内をしっかり感じ取ってくれて、日を新たに撮影の約束をしてくれた。


「実は、お前意外に結婚式に憧れてたよな。……可~愛い。お望みなら、もう一度フルコースしてやってもいいけど?」


……相変わらずの俺様節だこと。

じゃあ、してもらいましょうか。


「嘘、俺が見たい。今度は、俺のデザインのウェディングドレスで。……あの日の約束叶えてやる。……やっとやっと、叶えられんだな……」


微笑みながら遠い目をした翔の脳裏に浮かぶのは、きっとフォトフレームの中にいる四歳の私達……
やっとやっと、幼き頃からの夢叶えられるのね……。
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