友情は初恋と引き換えに
バンッ!



屋上へのドアを思いっきり開けはなつと…。



「あ…」



あのおじいさんはいた。



まるで待っていてくれたかのように。



「うむ、来ることはわかっていた」



そう言ってニコッと微笑む。



「な、なんで…」



「この鐘はこの学校をいつでも見守っておる。この鐘が見ているものはわしも見ておる。…………そういうことじゃ」



え、つまり、鐘が知ってることはなんでも知ってるってこと?



んな馬鹿な。



それじゃあ、いつもこの屋上にいるってことじゃん!



あ、でも私のことは知ってたのか…。



うーん、不思議。



「あの、もしかして私の言いたいこと…」



「わかっておるぞ?」



やっぱりか…。



おじいさんにはなんでもお見通しってわけね。



「が、時には言葉にすることも大切。………話してみなさい」



「…………」



言葉にすることも大切…。



そうだよね。


< 216 / 263 >

この作品をシェア

pagetop