龍瞳ーその瞳に映るもの
「だってね」

冷めた声すら出なくする言葉。

「芸能人かってくらいカッコいい人と
仲良く楽しそうに歩いてたから。
美緒の言ってたその、
つまり不倫相手なんだって思ったから
声かけれなかったの」

「へー、そ」

仲良く楽しそうにしてたんだ。
身ぐるみ一つで放り出されて
信用していた美緒にも裏切られて
失意のどん底で身を売って血を吐くような
毎日を過ごしてるかと思ってたのに?

芸能人並みの男と東京の街を闊歩してる?

はぁぁぁ?

「美緒ちゃん、ほんとに連絡とれないの?」

顔色の変わった私を心配そうに見るけれど連絡が取れるから今すぐ乗り込んで
とどめを刺している。

「大丈夫?」

大丈夫よって言わなきゃいけないのに、
そうじゃなきゃ今まで築いてきた
美緒像が壊れるのに…
幸せそうに笑うナノハの顔がチラついて
うまく笑えない。
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