龍瞳ーその瞳に映るもの
side 美緒

ママから連絡があったのは
何度も何度も通っているスクランブル交差点が
赤から青になった時だった。

ーナノハが帰ってきたー

雑踏に掻き消されてもおかしくない声量でも
美緒は聞き逃さない。

「すぐ帰るから!絶対うちから出さないで!」

そう言いながら私は走り出す。
絶対、逃がさない、もう二度と逃がさない。
行くあてもなく帰ってきたんだろう。
一緒にいた男にも捨てられたんだろう。

バカな女。
結局は美緒の元に帰ってくるしかないじゃん。

ママにもう一度電話する。

「ナノハに変わって」

余計な事を言わないように釘をさす。

『はい』

「おかえり」

『ただいま』

透き通る声は変わってない。
話し方も変わっていない。
慌てるとか焦るとかもない。
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