龍瞳ーその瞳に映るもの
昨夜まで迷わず開いていたドアが
開かずのドアに思えて
その向こうにいるのは
昨日の夜までのアズでも
昨日の夜のアズでもない気がした。

時間だけが過ぎる。
このままここに閉じこもってこの部屋に溶け込めるならいっそそうしたい。

「いつまで寝てる」

なのに、そう言ってドアを開けた
アズを見た瞬間、そんな思いは消える。

「仕事だ、起きろ」

暗い部屋から見えるアズは後光が
差し出るように見えて初めて会ったあの時と同じで神が舞い降りたと思った。
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