イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「そんなこと誰から聞いたの?」

「さっき、青山さん本人が自分で言ってましたけど」

「へっ!?」

思わず声を大きく裏返らせた私に、市ヶ谷くんもちょっと驚いたように身を引いた。

「そ、そんなに意外ですか?」

「だって……すごく、ビジネスライクな関係に見えたから」

「会社ではそうですけど、今日なんて分かりやすくベタベタしてたじゃないですか。
二人でずっと腕を組んでいたし、氷川さんもさり気なく青山さんをエスコートしてたし。
さっきだって、青山さんが氷川さんのこと下の名前で呼んでたじゃないですか」

「そ、そうだった……?」

「……朱石さんって、実は何にも見てないんすね……」

何も見ていないわけではないけれど、二人が腕を組んでいるという事の奥の意味までは考えようとしていなかった気がする。

ただ単に、こういう場所だから、ノリで腕を組んでいただけじゃなかったの?
青山さんが『流星』って呼んだのは、私の聞き間違いじゃなかったのだろうか。

ふと、『ラブ・キャッスル』へと歩いていく二人の後ろ姿が脳裏をよぎって、胸がドキッと跳ね上がった。

さり気ないエスコート?
――確かに、氷川は、いつも青山さんの一歩前を歩いていて。人ごみの中では守るようにしていたし。
引っ付いてくるななんて言いながらも、決して跳ねのけるようなことはしなかったし。
ドーナツを『あーん』されたときだって、いやいやながらも食べてあげてたし。

ひょっとして、氷川にとって。

青山さんは、すごく特別な――そういう関係なのだろうか??
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