イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「説得するわ。必ず双方の利益となるよう、調整する」

「簡単に言ってくれますね」

これ以上の討論は無駄だと悟ったのか、氷川は資料をまとめて席を立とうとする。

「待って! まだ説明は終わってない!」

「終わっていますよ。私の立場として、あなたの愚行を許すわけにはいかない」

私たちの論争を見て身のやり場に困っていた青山さんも、氷川にせっつかれて退席を促される。

「話を聞いてよ!」

私は慌てて席を立ち、会議室を出ようとする二人の前に立ち塞がる。

「私、前に言ったよね。
新しいことをしたいって。
今まで他の人たちが成し遂げられなかったことも、恐れず立ち向かっていきたいって」

そう。確かに宣言したはずだ。
彼の部屋で、ベッドに腰かけて、二人で五年分の軌跡を振り返りながら。

そして彼は確かに言ったのだ。『協力する』と。

「あのときの氷川さんの気持ちは、嘘だったの!?」

気が付いたら、彼の両腕を掴んで揺さぶっていた。
ハッと我に返り、私は慌てて手を離す。
氷川は、怒っているような、困惑しているような、なんとも言えない表情で私を見下ろした。
そして彼が、何か言おうとして口を開いたとき。

「勝手なこと言わないで!!」

氷川の言葉を遮って怒声を発したのは、彼の後ろにいた青山さんだった。
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