イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「今のは――」

どういうことだったんだろう。
だが、私の問いに答えられる者は、もうこの場にはいない。

困惑しているのは市ヶ谷くんも一緒だった。
「――どうしますか、朱石先輩。氷川さんはああ言ってましたけど、コラボ企画の件……」

進めて良いのか、はたまた打ち止めにすべきか。
氷川の意見を無視して、このまま強引に突き進めることもできるけれど。
できることなら、氷川には納得して欲しい。

「……もう少し、説得してみる」

「とても説得できるような感じじゃなかったですけど」

「なんとかするから。少し時間をちょうだい」

「……わかりました」

市ヶ谷くんは、氷川の意見なんて気にせずに、私の思う通りのことをやって欲しいと思っているのだろう。
彼の少し尖がらせた唇から、不満が見え隠れしていたけれど、気付かないふりをした。

みんなの気持ちを一つにしたいなんて、夢物語なのだろうか。
説得すれば分かってもらえるだなんて、思い上がりなのだろうか。

私は、氷川と同じ方向を見ていたいだけなのに。

やっぱり今日のプレゼンの成果は五割減だった。
< 125 / 227 >

この作品をシェア

pagetop