イジワル御曹司のギャップに参ってます!
先を歩く二人に追いつかないように、私は駅へ向かう道のりをダラダラと歩き始めた。

明日の朝、青山さんの服装が今日と同じだったらどうしよう。
ううん、青山さんはそういうところ、しっかりしてそうだから、ちゃんと着替えてきそう。
いや、しっかり過ぎる彼女のことだ、最初からそのつもりで着替えを持ち歩いているかもしれない。
そういえば、バッグがやたらと大きく膨れていたような。
だいたい、昔付き合っていたなら、元カノの服の一着や二着、氷川の家に置いてあるのかも……

って、なんでこんなことまで考えてるんだよぉ!!

苛々と、ぐるぐると、妄想が駆け巡って、自分の首が締まっていく。

『氷川』と『流星』、彼女とふたりきりのときは、どちらが出てくるのだろう。
眼鏡を脱ぎ捨てて、『流星』が甘い言葉を囁くのだろうか。私にしたみたいに。

って、考えちゃダメだってば!

頭をぐちゃぐちゃと掻き混ぜながら、私は余計な思考を振り払った。

それよりも、『村正さん』の名前を出したときの、青山さんの態度。
ちょっとやそっとではない。異常なくらいに動揺していた。
村正さんに関わる大きな事件が、氷川や青山さんを巻き込む形で起こったのだろう。
氷川本人に直接聞いてしまえば早いのだけれど、氷川の前で名前を出すなと、念を押されたばかりだしなぁ。

結局考えても埒が開かなくて、余計に悶々とするだけだった。

ああ、早く明日が来ればいいのに。
そうすれば、きっと仕事が私の心のすべてを持ち去ってくれるから――
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