イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「上層部は、私を次のリーダーに、と、言っています。ですが……」

「ですが……?」私は眉をひそめる。『ですが』ってなんだ。

「私は断ろうと思っています」

「……は?」

この言葉は私の予測の上を行くもので、思わず声がひっくり返った。

「断るって、なんで?」

口を閉じる氷川。
もしかして、私に悪いとか、思っているのだろうか。
彼らしくない余計な気遣いなんて、しちゃってるのだろうか。

「……遠慮しているの?
もともと、私と氷川さんのどちらかが企画の運営を任されるはずだったんだから、私が駄目なら氷川さんしかいないでしょ」

「この企画はあなたのものだ。私が横取りするわけにはいかない」

「仕方ないよ、私にはもう、リーダーになる権利はないんだから」

「……それで、あっさりと引き下がるのですか?」

「他にどうしろっていうの?」

はは、と笑って肩を竦めると、氷川は眉間に皺を寄せた。

だって、仕方がないじゃないか。
私は取り返しのつかないミスをして、相応の責任を取らなきゃいけない。
氷川だって、それを知っているはずなのに。
どうしてそんな、やりきれない顔をしているの?

まだ何か? と私が首を傾げると、氷川は諦めたかのように、ふう、と息を吐いた。
これ以上は無駄だと悟ったらしい。

「わかりました。私がリーダーを引き継ぎます」

氷川は私に背を向けて低い声でそう告げると、静かに会議室を出て行った。
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