イジワル御曹司のギャップに参ってます!
会議室にひとり、ぽつんと残されてしまった私。
まだ定時時間中だというのに、ここだけはシンと静まり返っている。
窓から外を見れば、人や車がせわしなく行き交い、世間は生き急ぐように廻り続けている。
この会議室の外もそうだ、みんな慌ただしく時間に追われている。
なのに、私だけ。
ひとり、時間の流れから置いてきぼりをくらっているようだ。

どうしてこんなに身体が重いんだ。

まるで鎖で両足を絡めとられているかのように、足が前へ進まない。

全てを捧げてきた仕事に拒絶され、氷川にも失望されて。

これから私は、何を掲げて生きていけばいいんだ。

「……ぅ……」

長いこと堪えていた涙がとうとう溢れ出し、嗚咽が響いた。

せめて外の世界に響かないように、しゃがみ込んで丸くなって、膝に顔を押し付けて泣いた。
私がこのまま一日中ここで泣いていても、きっと外の世界のみんなは、私がいなくなったことに気付かない。
今までの私は、自分がいないと仕事が回らないだなんて、自信過剰なことを考えていたのだけれど。
私なんか、居ても居なくても変わらないということを痛感した。


暗く深い思考の闇に飲まれようとしていた、そのとき。

会議室の扉がガチャリと開いた。
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