イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「突然どうしたの、怖いんだけど」

「なんでもない。よし、今日もごめんなさいしに行ってくるね!」

受け取った手土産を翻し、私は流星に背を向ける。
と、ここで。

「そうだ、流星」

私は振り向いて怪訝な顔をする流星に人差し指を付き付ける。

「今日、いい意味でも悪い意味でも、動きがあると思うの」

「は?」

「楽しみにしてて」

「ちょ、朱石さん!?」

慌てふためく流星の声に、ちょっとだけ嬉しくなった。
彼はこのあと、意味深過ぎる私の言葉に引きずられて、しばらく苛々することだろう。
大丈夫。遅かれ早かれ、今日には決着がつくと思うから。
振り返ることなく私はロビーの出口へ向かって颯爽と歩く。

「何を企んでいるんだ!? 朱石さん!?」

流星の叫び声が背中から聞こえてきたけれど、気にしない。

もう甘えないと決めたから。
私は私の流儀でやろうと思う。
この結果、最悪の方向にことが及んだとしても。
自分の責任は自分で取るし、もう後悔を残すような仕事の仕方をしたくない。
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