イジワル御曹司のギャップに参ってます!
私の葛藤もつゆ知らず、氷川は呆れ半分のため息をついた。

「まったく。昨日、あれだけ寝たというのに、寝不足だなんて言わないでくださいよ」

「おかげ様で、睡眠時間は足りてます!」

「でしょうね。人のベッドのど真ん中を占領して熟睡したあげく寝不足だなんて言われたら、私が可哀想だ」

「あ、あなただってちゃっかり端っこに寝てたじゃない!
だいたい、女性が寝ているのに潜り込んでくるなんて非常識じゃない!? 普通、気を使って身を引いたりするもんでしょ!?」

「何故私が身を引かなければならないんですか。私のベッドなのに。
それに、『潜り込んだ』という表現は不適切です。横に寝ただけです。猥褻な行為をしたみたいに言わないでください」

「っあんなことしといてっ! 今さら――」


「あ……あの……」

そのとき後ろからおずおずと、か細い声が発せられた。
すっかり頭に血が昇っていた私は、ハッと我に返って後ろを振り返る。

私たちの後ろ、一歩引いたところに。会議思資料を抱きかかえながらちょこんと佇む市ヶ谷くんの姿。

「お二人は、付き合っているんですか……?」

ものすごく居心地の悪そうな顔で首を傾げる。
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