イジワル御曹司のギャップに参ってます!
メモをぺラリと裏返したところで、流れるような走り書きを見つける。
『広報担当の吉村様は激情型。
内容の正当性に関わらず、まず真摯な姿勢を見せ、頭を下げること。
情に深い人物でもあるので、感情に訴えてこちらの事情を説明しなさい』
これは……
クライアントの攻略方法?
そして最後に一文。
『――人の心を掴むのは、あなたが誰よりも得意なはず』
まるで応援メッセージのような一言。
なにそれ。
散々怒って、けなして、傷つけて、挙句の果てに、こんな褒め言葉。
彼が本当に非情な機械人間だったなら、こんなメッセージを付け足そうとは思わないだろう。
本当に私のことが嫌いで、どうなってもかまわないのだったら、こんなアドバイス、絶対にしないはず。
これはたぶん、優しさだ。
彼の思いやりと、気遣い。
なんだよもう。
余計に彼のことが理解できなくなって、デスクの上に突っ伏した。
デスクに頬を寄せながら、彼のちょっと達筆な文字を指でなぞる。
それだけで少しドキドキした。
男性のことを思って頬を綻ばせたのは、いつぶりだろう。ひょっとしたら初めてかもしれない。
それぐらい私は嬉しくて――素直に褒めてくれないちょっと意地悪な彼が愛おしく感じられた。
よし。頑張ろう!
腹を据えて姿勢を正し、改めて受話器を握った。
クレーム対応はいつもちょっとドキドキするけれど、今日は上手くいく気がする。
彼のメモを握りしめながら、呼び出し音に耳を澄ませ、やがてブツッとそれが途切れ、女性のアナウンスが聞こえてくる。
「美倉広告企画の朱石と申します。広報部の吉村様はいらっしゃいますでしょうか」
『広報担当の吉村様は激情型。
内容の正当性に関わらず、まず真摯な姿勢を見せ、頭を下げること。
情に深い人物でもあるので、感情に訴えてこちらの事情を説明しなさい』
これは……
クライアントの攻略方法?
そして最後に一文。
『――人の心を掴むのは、あなたが誰よりも得意なはず』
まるで応援メッセージのような一言。
なにそれ。
散々怒って、けなして、傷つけて、挙句の果てに、こんな褒め言葉。
彼が本当に非情な機械人間だったなら、こんなメッセージを付け足そうとは思わないだろう。
本当に私のことが嫌いで、どうなってもかまわないのだったら、こんなアドバイス、絶対にしないはず。
これはたぶん、優しさだ。
彼の思いやりと、気遣い。
なんだよもう。
余計に彼のことが理解できなくなって、デスクの上に突っ伏した。
デスクに頬を寄せながら、彼のちょっと達筆な文字を指でなぞる。
それだけで少しドキドキした。
男性のことを思って頬を綻ばせたのは、いつぶりだろう。ひょっとしたら初めてかもしれない。
それぐらい私は嬉しくて――素直に褒めてくれないちょっと意地悪な彼が愛おしく感じられた。
よし。頑張ろう!
腹を据えて姿勢を正し、改めて受話器を握った。
クレーム対応はいつもちょっとドキドキするけれど、今日は上手くいく気がする。
彼のメモを握りしめながら、呼び出し音に耳を澄ませ、やがてブツッとそれが途切れ、女性のアナウンスが聞こえてくる。
「美倉広告企画の朱石と申します。広報部の吉村様はいらっしゃいますでしょうか」