『ココロ彩る恋』を貴方と……
時計を確認すると2時過ぎだった。この時間、兵藤さんは何処で何をしていることが多いだろう。


「前はリビングによく居たけど……」


あの酔っ払った一件以来、昼間にゴロ寝をしているのは見なくなった。

だけど、今日は私が寝ているせいもあり、もしかしたら安心してソファに寝転がっているかもしれない。


「行ってみるか」


フラつきながら向かう。

コンコン…とノックをしてドアを開けると、中は以前のように散らかっている。


「あーあ、やっぱり……」


河井さんの言った通り、兵藤さんては片付けができないようだ。

本や新聞はあちこちにばら撒かれていて、ついでに言うなら風も通された感がない。


「ここの掃除は明日にしよう」


今日の分も早目に来て仕事をしよう。銀行にも行って、薬や食事代を支払わなければいけない。


「肝心の主は此処じゃないのか」


どこへ行ったんだろう?と思いつつ、次のドアを開けていく。


(応接室にも居ない。和室にも居ない…となると、一体何処へ?)


自分の部屋に居るのかと、ドアをノックしたけど返事はない。



「じゃあ最後は彼処しかないか」


個展が近付いてるから、作品を作っているのかもしれない。

仕事をしている姿は見られたくないと言われたけど、置き手紙だけじゃ見ない可能性も高い。


< 132 / 260 >

この作品をシェア

pagetop