『ココロ彩る恋』を貴方と……
(やだ……どうしよう。嬉しい……)


天にも昇る気持ちというのはこんなことを言うのだろうか。

フワフワと足元が浮いている様な感覚で、妙に体が軽い。


(風邪とか吹っ飛んでいきそう!…っていうか、もう完全に治った気がする!)


ヘラヘラとニヤつきながら作ったトマトリゾットには、トマト以外に人参のペーストも入れた。

本当は鮭の身もほぐして入れようかと思ったけど、生臭いをニオイを嗅いだら、やっぱりウッ…と気持ち悪くなってしまった。


兵藤さんの見立て通りだと思いつつ、出来上がったばかりのリゾットを鍋ごと食事室へ運ぶ。

私はこれ一品でも十分だけど、兵藤さんには物足らないかもしれない。



「……すみません。エビも魚も気持ち悪くて扱えなくて……」


赤い色をしたタンパク質が他に思い浮かばず謝った。

兵藤さんは最初から私の料理には期待もしていなかったようで、「いいよ」とあっさり許してくれた。


鍋から直接取り分けた皿を前に置いた。

湯気から立ち上るトマトの香りを嗅ぎながら、やはり申し訳なさばかりが募る。


(どうして私、もっとお爺ちゃんに料理を習わなかったんだろう……)



祖父は、子供らしく我が儘も甘えも許されずに育った私を思いきり甘やかして育ててくれた。

勉強しろと言われたこともなければ、お手伝いをしてと頼まれたこともない。

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