『ココロ彩る恋』を貴方と……
お年寄りの世話は嫌いじゃないし出来る限りのことはしてあげたいと思う。でも、愚痴を聞かされるのは堪らない。


「うちの家族は冷たいよねぇ。休みに入った途端、私1人を残して遊びに行ってしまうんだから」


お婆ちゃんの言葉に相槌も打ちにくい。黙って目を逸らしていたら家族のことを聞かれた。


「あんた一人暮らし?それとも誰かと暮らしてるの?」


「私ですか?独りで生活してますけど…」


あまり口にしたくない内容だった。無遠慮なお婆ちゃんは、「やっぱりねぇ…」と声を漏らした。


「家事を見てたらわかるよ。家で料理をおざなりにやってるんだろう?スーパーの惣菜を買ってきたり、コンビニの弁当を買って済ませてたりするんだろうね…」



(……いえ、もっと悪いです……)


心の中で反論する。

前の職場で単色志向だった兵藤さんよりも酷い食事をしている私。

この家でずっと主婦業をしてきたお婆ちゃんには、絶対に話せない真実だ。


「お父さんやお母さんは何処にいるんだい?実家は地方なのかい?」


ビクン!と背筋が凍るものを感じた。冷や汗を覚えながら、「いません」とだけ教えた。


「いないってどういう意味だい?亡くなったのかい?」


要らないことをしつこく聞く。気分が段々とイラついてきて、「そんなもんです」と答えた。



「どうりで…何もできない訳だ」


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