『ココロ彩る恋』を貴方と……
「とにかくこっちへ来て。そのままじゃ風邪を引くわ!」


腕を引っ張り歩き出す。すぐに見えてきた画廊の中へ入り、大きな声で叫んだ。


「誰か!あったかい飲み物を持ってきて!それからタオルとストーブも!」


話しながら奥へと進み、事務所のような部屋に入った。


「…あっ」


壁のポスターを見て躊躇う。

『兵藤 昂 版画展』の文字が見え、身を翻したくなった。


「か、河井さんっ!」


まずい。

こんな気持ちのまま彼に会いたくないっ!


向きを変えて逃げようとした私の身体を抱きかかえて、彼女はソフアに座らせる。

程なく持って来られたストーブを足元に置いて火を点け、タオルで髪を包んだ。


「とにかくその冷えた身体を温めないと……」


自分のコートを脱いで私に引っ掛け、ゴシゴシ…と身体を擦りだす。


「い、いいです。そんなことして貰わなくても……」


そんなことをしちゃいけない。これから罰を受けないといけない人間に触ってはいけない。

拒むように手を振り解こうとしても、河井さんはその手ですら擦りだす。


「こんなに冷えて……ああ、もう、何があったの!?」


心配そうに何度も何度も擦りながら聞く。

その声を聞きながら、涙が溢れて止まらなくなったーーーー。



「………満仲さん?」


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