『ココロ彩る恋』を貴方と……
「紫音!」


呼びながら体を支えられる。

いつかと違って、今日は胸を鷲掴まれてはいないけれどーーーー



「……もう……何するんですか………」


弱々しく怒った。

笑った顔の彼が、「ごめん…」と謝る。

抱き抱えられたポーズのままで酔いしれる。

このままずっと、こうしていたい………。




(お爺ちゃん……)


再び近付いてくる顔に合わせて軽く瞼を閉じる。

寄ってくる人の体温を感じながら、亡き人に対してお礼を言ったーーー。



(私を迎えに来てくれて……ありがとう………)



おかげで好きになってくれる人に出会えた。

この悦びだけは一生蓋をしないで生きる。



(ずっと眺め続けていくの……。大好きな人の……青っぽい目を………)



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